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2004年9月16日

「お産を診たくない」という気持ち

今日も当直です。
日中手術がたくさんあって疲れたけど、そして明日も盛りだくさんだけど頑張るぞ・・・なにせ来週夏休みなので!

さて、ちょっと遅れた話題で申し訳ありませんが、先週 9月7日の記事でこういうのがありました。

Yahoo!ニュース - 社会 - 共同通信

産科医27%お産診たくない 不規則勤務、訴訟多いと

 全国の若手産婦人科医師を対象とした厚生労働省研究班の調査で、産科診療をしたくないと感じている医師が27%に上ることが6日、分かった。不規則な勤務や医療訴訟が多いことを理由に挙げており「産科離れ」の深刻さを裏付けた。
 診療ストレスについて尋ねた中で「ストレスはあるが、興味がある」と答えた医師が66%で最多だったものの、「できれば産科診療をしたくない」が18%、「診療科の変更を考える程のストレス」も9%に上り、合わせて27%が産科診療はしたくないと回答した。

それなりに悩んで決心して入局したのに、働き始めたら予想以上の状況に愕然とし、「もうお産は関わりたくない・・・」と考える人がいます。それも多数。
私のまわりにも、「分娩」「当直」から逃れるために、婦人科のみで開業された人や医局を離れてバイトのみで生活をしている人たちがいます。(もちろんそれが原因、という人たちだけではありませんが。)
何せ、お産に関わっているのって、いつもジェットコースターに乗っているような気分です。患者さんが幸せなときとそうでないときの落差が激しすぎるのです。そして今の時代は、「うまくいって当然」、何かあるとすぐに患者さん側は「医療ミスでは!?」と攻撃態勢に入るのです。
そしてそれらの事は、時間を選ばず、いつなんどき起こるか分からないのです。
ここでは書けないほどに恐ろしいことが、その医者がどんなに一生懸命やっていても、ある一定の確率で起こるのです。

もちろん仕事なんだし大変なのは当然、と私も思います。しかも一般サラリーマンよりはちょっと良い(実は基本給はほぼ同じで当直代などの手当が多いだけだが)給料を貰っているんだから、とも思います。でもあまりにリスクが高いようにも思ってしまうのです。

今回のこの記事に関する感想を書いたblogもいくつか見かけました。
「やる気が無い人は、さっさとやめればいいのに」とか「じゃあ何で産婦人科に入ったのか」といった意見がけっこう書かれていました。
でもね、「就職したら予想以上のストレスだった」ということだと思いますよ。今年からスーパーローテートが導入されており、2年間働いてから診療科を決めることになったので、忙しいのがバレてしまう小児科や産婦人科は入局者が更に減るだろう、と言われています。

わたし自身は、それなりに充実感が得られる仕事と思っているし、新しい科に移る勇気もフリーターになる勇気も無く、たぶんしばらくこのままやっていくと思いますが、「できれば産科診療したくない」という気持ちも分からないではないなぁ、と、考えさせられました。具体的には、もうちょっと余裕を持って仕事させてもらえると有り難いんですけど。