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2005年6月 6日

「決定権認定」という記事

分べん裁判: 患者の決定権認定か、両親に弁論通知 最高裁

 埼玉県所沢市の国立病院で94年、仮死状態で生まれた新生児をめぐり、両親が「申し出に反して出産方法を決めたのは患者の自己決定権侵害」などとして国と担当医に8400万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は上告の申し立てを受理し、先月、関係者に通知した。弁論は7月7日に開かれるが、両親側が逆転敗訴した控訴審判決が見直される可能性が出てきた。医療関係者は「患者と医師の治療法の決定権をめぐる裁判は医療現場への影響が大きい」と注目している。

 上告受理申立理由書などによると、母親は93年に妊娠。逆子と分かったため両親は帝王切開を希望した。病院側に「同意書を書く」など再三申し出たが、担当医は「心配し過ぎ」などと取り合わず、翌94年5月、両親の申し出に反して自然分べんさせた。新生児(約3800グラム)は仮死状態で生まれ、4時間後に死亡した。

 さいたま地裁川越支部の1審判決(01年)は医療ミスについては訴えを退けたが、医師が自然分べんを採用した点は「医師が患者に対し優位的立場にある」との背景から自己決定権侵害を認め、国などに慰謝料約300万円の支払いを命じた。

この記事を読んで思ったことは、争点が「初産で3800g(推定はどのくらいだったのかわかりませんが)の骨盤位を経膣分娩した結果に新生児死亡になったこと=分娩方法が正しかったのかどうか」では無くて、「患者の決定権を侵害したこと」なんだな、ということです。
あ、でも、1審では医療ミスかどうかが争われたんですかね? そうすると、2審では論点をちょっと変えて、自己決定権についても検討したってことなんですかね。

S.Y.先生が書かれているように、「帝王切開してくれ」という妊婦さん全員を帝王切開することになったら、それは大変なことですよね。(乱暴な言い方をすると、適応など関係なく、全員の妊婦さんに対して、予定日前に予定帝王切開するほうが、私たちは今よりずーっと楽です。たぶん。でもそれは産科医療としてはいかがなものか。)
今後この「自己決定権」がどのように扱われていくかが、気になるところではあります。

ま、でも、初産骨盤位で患者さん側が「帝王切開してくれ」って言ったら、今だったらするでしょうな・・・ 今だったらね。