起訴になってしまった
連日この話題ばかりで申し訳ありませんが、福島県立病院の産科医逮捕事件、起訴になってしまったようです。拘留期限は明日11日だったはずなのに。
帝王切開手術中に死亡、福島県の産婦人科医を起訴
福島県大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開の手術中に同県内の女性(当時29歳)が出血性ショックで死亡した事故で、福島地検は10日、手術を執刀した産婦人科医師の加藤克彦容疑者(38)を業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪で福島地裁に起訴した。
起訴状によると、加藤容疑者は、事前の検査で胎盤が子宮に癒着し、大量出血する可能性を認識していたにもかかわらず、本来行うべき子宮摘出などを行わず、胎盤を無理にはがして大量出血を引き起こしたとされる。さらに、医師法で定められた24時間以内の警察への届け出をしなかったとされる。
この事件を巡っては、医師や関係団体が加藤容疑者の逮捕に抗議する動きを見せている。同県内の開業医らで構成する「福島県保険医協会」は3日、「(逃走や証拠隠滅の恐れはなく)逮捕は人権を無視した不当なもの」とする異例の抗議文を県警に送付。日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会なども抗議声明を出している。
一方、同地検の片岡康夫次席検事は10日、「罪証隠滅の恐れがあり逮捕した。血管が密集しているところを無理にはがした。大量出血は予見できたはずで、予見する義務があった。判断ミスだった」と起訴した理由を説明した。医師法違反罪については「通常の法解釈をした。大量出血しており、異状死にあたる」とした。
この記事に対していちいちツッコミを入れる気にもなりません、というのが正直なところですが・・・。
これを受けて、産婦人科学会と産婦人科医会も声明を発表しました。
今日、医局経由で福島県立医大教授名義の陳情書がまわってきました。(現在HPができてます、医療従事者の方は良かったら参加して下さい。)
なるべく早くとのことだったので、プリントアウトした陳情書を手に、何人かの医師や助産師・看護師に署名を求めました。驚いたことに、この事件を知らない医師も何人かいました。助産師の多くは知っているようでしたが、看護師では知らない人の方が多い印象でした。一人一人に説明し、ちょっと燃え尽きました。
この陳情書や先の支援するグループの活動、各医師会などの声明で、全国の医師たちが一丸となっている様に思います。
ついつい、その状態に酔ってしまいそうです。
でも、今回の事件を通して、住民の方々の意見がほとんど聞こえてきません。
例えば通っていた病院の医師が逮捕されたとき、またその後その病院の産婦人科が無期休診となったとき。新聞やニュースではこの類の記事に必ず住民の声が出ていたように思うのですが。
私はこの病院がある町を、ちょっと知っています。何回か行ったことがあります。
果物がとても美味しくて、海と山が見えて白鳥がやってくるのどかな所です。
この町の人たちは、今、どんな気持ちでいるんだろうと考えています。
*3月11日追記 ある産婦人科医のひとりごとにもトラバさせて頂きました。
コメント
福島産科医師不当逮捕に対し陳情書を提出するホームページの事務局です。ご賛同ありがとうございました。感謝申し上げます。
残念ながら加藤先生は起訴されてしまいましたが、これからが本番です。署名への参加を宜しくお願い申し上げます。
投稿者: 福島産科医師不当逮捕に対し陳情書を提出するホームページ | 2006年3月10日 22:26
あまりにも不当な逮捕であり、これが正当であるというのなら多くの外科医は職務を全うできなくなる危険がある大きな問題です。
活動を応援しています。
投稿者: 高知の整形外科医 | 2006年3月12日 12:18
>高知の整形外科医さん
今回の事件を受けて、外科的診療が怖くなってしまっている人もたくさん居ると思います。
私もその一人です。
投稿者: mariko | 2006年3月12日 19:27