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2007年2月 9日

脱力

今になってこういった記事を出す意図は何なんですかね。
いろいろとツッコミを入れたい部分はありますけど、その気力も起きませんよ。


 「17年間、産科医療がほとんど変わっていない現実が悔しかった」

 厚生労働省中央社会保険医療協議会の委員を務める勝村久司さん(45)はそう話す。奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月に起きた医療事故のことだ。同県五條市の高崎実香さん(32)が分娩(ぶんべん)中に脳内出血になり、19病院から転院を断られた末に、搬送先の病院で8日後に死亡した。

夫の晋輔さん(24)が事故後初めて病院を訪れたとき、担当医は「ミスだった」と認めた。だが、10月に応対した院長と弁護士は一転してミスを否定した。「病院側に問題はない。提訴してください」。弁護士はそう言った。

 それでも晋輔さんが、実香さんが意識を失っているときに担当医が仮眠をとっていたことなど、対応の不十分さを指摘すると、弁護士はみるみる表情を変え「誠意ある対応をします」と引き下がった。連絡はまだない。

 12月に大阪市内で開かれた会合で、実香さんの遺族は「真実を知りたい。同じことが繰り返される構造を、改めたい」と訴えた。会場にいた勝村さんは、この思いが痛いほど分かった。

 高校教諭の勝村さんが医療問題にかかわるようになったのは、初めての子だった長女、星子(せいこ)ちゃんの出産と死がきっかけだった。

 平成2年12月2日、当時29歳だった妻の理栄さんは陣痛がないにもかかわらず、枚方市民病院に入院させられた。「子宮口を軟らかくする薬」との説明で陣痛誘発剤(促進剤)を飲まされた。ぜんそくの既往歴のある産婦の場合、厳重な管理が必要な薬だったが理栄さんは放置された。

 異常に強いおなかの張りと息苦しさを、理栄さんは訴えた。それを聞いた医師は「しゃべれるから陣痛が弱い」と判断し、さらに陣痛促進剤の注射を指示した。胎内の星子ちゃんは強く圧迫され続けた。

 医師が分娩監視装置を取り付けたとき、星子ちゃんは仮死状態だった。緊急帝王切開で星子ちゃんを取り出し、なんとか蘇生(そせい)したが9日後、短い人生を閉じた。あまりに小さな亡きがらを前に、家族は何度も泣き崩れた。

 星子ちゃんの死後、事実経過をたずねる勝村さんに、医師はやむを得ず起きた事故のように装った。カルテを改竄(かいざん)し、うその説明を繰り返した。

 「この医師と病院は同じ過ちを繰り返す。星子と同じ被害者を生む」

 勝村さん夫妻はそう確信し、4年3月に枚方市民病院を運営する枚方市を相手に提訴した。1審は敗れたが、11年3月の大阪高裁は、病院が不必要な陣痛促進剤の投与後、理栄さんの分娩監視を怠り、帝王切開の判断が遅れたことが星子ちゃんの死亡につながったと認め、逆転勝訴の判決を言い渡した。判決は確定した。 分娩にともない脳性まひを負った新生児に、過失の有無にかかわらず補償する無過失補償制度の本格的な設計が、今月から国で始まる。勝村さんは補償だけ先行し、原因究明を置き去りにする制度になってしまわないかと危惧(きぐ)している。

 「事故をゼロにするためには、医師、病院は被害の事実に向き合い、過ちを見つけ改善しなければならない。無過失補償制度が、虚偽の説明やカルテを改竄する悪質な医師や病院を放置することになってはいけない」

 今月12日午後、東京都千代田区のアルカディア市ケ谷で、勝村さんが世話人を務める陣痛促進剤による被害を考える会は、産科医療における無過失補償制度を考えるシンポジウムを開く。被害者の声に耳を傾けた補償制度、医療システムづくりを訴えるつもりだ。

 死因の究明と再発防止。医療事故で愛する家族を亡くした人たちに共通する願いだ。病院の説明に納得できなければ裁判を起こすしかないが、法廷での対立はさらに遺族を傷つけかねない。医療者と患者の溝は埋められるのか。

(2007/02/08 13:16)

コメント

この勝村という人が産科に対して恨みを持ち続けることは理解できますが、恨みが持続すればするほど事態を客観的に見ることは困難になります。マスコミはそういう人物を利用して実態とかけ離れた偏見に真実味を与えようとします。この人はマスコミを利用していると思っているのかもしれませんが、実は利用されているだけですね。