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2006年2月 7日

無理。

先日紹介した「辞めたい」が頭にこびりついて離れませーん。そしてため息をつく今日この頃。
しかし朝っぱらから、暗い気持ちを加速するような記事が・・・。

出産で重い障害、徳島県立病院の医療ミス確定…最高裁

 徳島県立中央病院で1992年、妊娠8か月で出産した男児に脳の重い障害が残ったのは医師のミスが原因だとして、大阪府内の両親らが県に約1億5500万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は、県に約1億1200万円の賠償を命じた2審・大阪高裁判決を支持し、上告を退ける決定をした。

 決定は3日付。県側の敗訴が確定した。

 2審判決によると、この男児の母親は92年に同病院で帝王切開を受けたが、男児は出生直後の呼吸不全が原因で脳性まひになった。1審・大阪地裁堺支部は賠償請求を棄却したが、2審は「帝王切開を選択した医師の判断は誤りで、他の選択肢があることも両親に説明していなかった」として、県側逆転敗訴の判決を言い渡していた。

最初にこの記事を読んだとき、「CP(脳性麻痺)になる可能性があるのなら帝王切開をすることは無かった」という話なのかと思い、何という人で無しな判決なのかと思ったのですが。

S.Y.’s Blogさんによると、31週前置胎盤の警告出血で帝王切開したところ、そういう結果になった、ということらしいのですね。
となると「帝王切開以外の選択肢があることを両親に説明していなかった」というところは、「現時点では出血が少量なのでもうしばらく待機するという選択肢を説明しなかった、そしてもう少し週数が進めば児の呼吸困難→CPは起きなかっただろう」という事なんでしょうか。

でもすぐ帝切しないで待機した場合、突然の大出血を起こして母体と児の両方が危機にさらされる(というかズバリ共倒れになる)可能性があるわけで。その場合は許してくれるのかな?ダメでしょう?
前置胎盤による出血で31週になっていれば、新生児救急のあるところだったらまず帝王切開すると思いますよ。
そもそもCPの原因が呼吸困難と、どうやって決めたのか。

医療ミスではない。判断ミスでもない。患者さんを放ったらかしにしたわけでもなく、一生懸命やった結果だと思う。
それなのに億単位の訴訟を起こされ、それが認められるようでは、もうこの国で出産を扱うのは怖くて仕方がないです。すぐにでも辞めたい。

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このリストは、次のエントリーを参照しています: 無理。:

» [記事][医療]産科医不足も当然かと。 送信元 S.Y.’s Blog
先週の3日に出た決定らしいが。この症例、31週の前置胎盤で、警告出血に対して帝王切開したらしい。んで、子供が脳性マヒ(CP)になったらしいんだが、CPの原... [詳しくはこちら]

» 前置胎盤の出血 送信元 ある産婦人科医のひとりごと
新聞記事より:http://www.topics.or.jp/News/news [詳しくはこちら]

コメント

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(追伸:私の操作ミスで何回もトラックバックしてしまい申し訳ありませんでした。削除をお願いします。)

「辞めたい」フラッシュまで出現しましたね。見ながら笑い、終わって泣けます。

フラッシュ、素晴らしいですよね!
是非みなさんに見てもらいたいものです。
http://atto.s2.pf-x.net/cgi-bin/up/img/130.swf