県の責任
前置胎盤→帝王切開の後CPで最高裁で負けた件に引き続き、今度は、癒着胎盤→母体死亡で逮捕。
これではまるで、意図的に産婦人科医を減らそうとしている何らかのフォースによる働きなのでは無いかと、ちょっとした被害妄想に陥ってしまっている今日この頃です。
なんかね、変な例えですけど、上野動物園で毒入りジャガイモを与えられている、象のハナコのような。その後飢え死にを計られて、それでも芸をしてしまう私たち・・・みたいな。そんな事を考えるなんて、病んでるなぁ。
「仕事でしょ」「お金貰ってるでしょ」「自分で選んだ道でしょ」というのは、聞き飽きました。そういえば、反抗期の頃に、学校の先生に同じ台詞でたてついたことがあります。その位にしか、思いません。
さて、逮捕の一件に関して、やはり私たち産科医が考えるのは、「一人医長で手術をさせていた県や県立病院に罪は無いのか?」でしょう。
私には幸いにも経験が無いですが、一人医長というのは、相当なストレスだと思うし、同時に危ない状態だと思うんですよ。
→関連 女医ななこのひとりごと
県側のコメントとして、「医者がふたり居ればいいが・・・」みたいなものがありましたが、本当に県は医者を増やす気があったのでしょうか。
福島県立病院の医師募集を見ると、産婦人科医の募集はひとりもありません。ちなみに他の県立病院、ぜーんぶ一人医長です。
もしかして、福島県は一人医長で充分と思っていたのでは? だって二人にすると、お金が倍かかりますからね。
しかし、医師の過重労働だけでなく、患者さんたちの健康を思うと、一人医長はかなり危険。単純に考えても、医者だって病気もするわけですから。その時はどうするの?お産は待ってくれませんよ。
以前、泉崎村立病院で院長が1ヶ月で逃げちゃった話(いやしのつえを参考にしてください)のときも、「宅直5回と休日夜間の呼び出しは重労働ではない」みたいなことを村側が言ってくれちゃったりしているところを見ると、そういった勤務状況は、福島県の医師としては普通なのかも知れない。
でも、全国的には違いますから!
ローカルルールで医師を拘束しながら、いざ何かあるとトカゲの尻尾のように切り捨てるのでは、あまりにもひどいですよ。悲しいですよ。県側の責任を明確にしてくれないと、このままではちょっと・・・。
そうしないと、今後も福島の医療が変わらないと思いますし。
コメント
今日の関連ニュースで、県知事が「遺憾」とのコメント出したんですが、対策案は「危険な手術の際には、他病院から応援をもらう」とかいう程度の案で。
このblogでちょびっと知識がついた程度の私でも、それって全く根本的な解決になってないじゃんか、と思いましたよ。
地元の話題なだけに、切ないっす。
投稿者: アンちゃん | 2006年2月20日 21:29
上記のYahoo Groupで、加藤先生をサポートする運動を始めています。もしよろしければご参加ください。
投稿者: ssd | 2006年2月20日 22:35
>アンちゃん
それはしょぼい・・・>県知事
前回の記事にいただいたコメントによると、いわきも大変そうですよ。
本当に福島県全体でなんか考えなおすべきと思いますよ。
>ssdさん(先生?)
有り難うございます。でももう締め切っちゃったみたいですね。入れなかったです・・・
投稿者: mariko | 2006年2月21日 21:17
「応援をもらう」って応援を要請される病院も一人医長なのでは・・・
応援を出している間はどうやってお産をするつもりなんだろう・・・?
投稿者: 774 | 2006年2月22日 13:36
>「応援をもらう」って応援を要請される病院も一人医長なのでは・・・
>応援を出している間はどうやってお産をするつもりなんだろう・・・?
当然、ヨソから応援もらうつもりなんでしょうww
投稿者: とと | 2006年2月24日 15:19